なまこについて

 

なまこの基礎知識

ナマコは各地の海に広く分布し、世界では約1,500種類、日本だけでも200種類のナマコがいるといわれています。
ウニやヒトデと同じ「棘皮動物」(きょくひどうぶつ)の仲間で、体の断面が五角形となっています。
日本で主に食べられているナマコは「マナマコ」という種類で、同じマナマコの仲間でも生息地域により体色やイボ足(棘)の大きさが異なっているほか、体色の違いから、一般的にアカナマコやアオナマコ、クロナマコと呼ばれています。
水揚げされたナマコは、国内の生食用・加工用として消費されるほか、大部分は塩蔵や乾燥の加工行った後に主として中国向けに輸出されていて、乾燥ナマコだけでも日本全体で100億円程度が輸出されています。なお、中国では、ナマコは古くから健康食材や高級食材として珍重されています。
青森県では、毎年1,200トン以上のナマコが水揚げされており、漁獲量は北海道に次いで全国第2位で、3つの半島に囲まれた陸奥湾には、肉厚(体壁が厚い)のアオナマコ(体色は深緑色から黄土色)が数多く棲息しています。
ナマコは古くから青森の冬を代表する味覚であり、生のナマコを調理した「ナマコ酢」がよく食べられます。また、乾燥したナマコなどを使った中華料理や様々な創作料理も作られています。

ナマコの防御

厳しい自然の中で、ナマコも敵から身を守らなければいけません。ナマコの体内には、サポニン類の「ホロトキシン」という物質をもっており、この物質は魚に対しては毒として働きます。(人間には影響ありません。)
そのため、多くの魚はナマコを食べようとしませんが、どうしてもナマコを食べようとする魚などが現れた場合は、ナマコは自分の内臓を吐き出し、相手が内臓を食べている間に逃げる場合もあります。(内臓はしばらくすると再生するといわれています。)
ちなみに、ナマコの腸を塩辛にしたものが「このわた」で、卵巣を塩漬けにしてというものが「くちこ」といわれる珍味になります。
なお、サポニンは朝鮮人参の薬効成分としても知られていますが、ナマコも同様に古くから滋養強壮や皮膚病に用いる漢方薬として利用されてきました。中国では、海の人参という意味を込めてナマコを「海参(ハイシェン)」と呼んでいます。

ナマコに含まれる機能性成分

コラーゲン

コラーゲンは、体の弾力をつくり出しているたんぱく質のひとつで、皮膚や骨、血管などに含まれ、細胞と細胞を結ぶ働きをしています。
コラーゲンには弾力性があるため、肌ではハリや弾力をもたらす効果、関節痛を緩和する効果、骨を丈夫にする効果、血管ではしなやかさを保ち動脈硬化を防ぐ効果など様々な働きが期待されています。

コンドロイチン

コンドロイチンは、もともと人間の体の中に多量に存在している成分で、成長期には体内で生成されるが、加齢とともに生産量が減少し、不足すると関節痛や腰痛の原因にもなります。
主にサメ軟骨やナマコに含まれる多糖類の一種で、体を若々しく保つ効果があります。

ホロトキシン

ナマコが持つサポニンの一種、ホロトキシンという成分は、強い防カビ作用を持ち、白癬菌を原因とする水虫やタムシの治療薬として実用化されています。

ナマコのQ&A

Q1.日本は数百年前から乾燥ナマコを中国に輸出していると聞きますが、本当ですか?

本当です。いまから300年ほど前、日本の江戸幕府が中国との貿易赤字を解消するために、乾燥ナマコをアワビ、フカヒレと並ぶ清朝への輸出重要品目(俵物三品)として指定したことにより、中国への輸出が本格化しました。乾燥ナマコの中心的産地は北海道でした。日本の乾燥ナマコは乾燥の良さ、疣数の多さ(疣数の多さは健康への効能が高いと思われた)で歓迎され、日本の貴重な収入源となっていました。現在でも乾燥ナマコは日本の水産品の中で、輸出金額が1−2位を争う輸出品目です。輸出品の殆どが香港経由で入り、その後中国大陸で消費されています。
ただ最近日本において、乾燥ナマコの製造はどんどん減っています。それは近年ナマコの浜値相場の高騰もあり、資源が限られている中、中国からの注文がどんどん安価な塩漬ナマコにシフトしているためです。また近年の、中国の需要増の影響によるナマコ資源の減少も問題視されています。
日本では各産地が禁漁期間、体長制限、禁漁区域設定等でナマコ資源の保護に努めています。さらにナマコのすみか作りも盛んに行われています。

Q2.長年中国に輸出されて来た日本の乾燥ナマコの特徴は何ですか?

日本の乾燥ナマコの一番の特徴は、日本には養殖ナマコが存在しないので、天然野生品しか利用していないということです。
生育環境もきれいで寒冷な海に恵まれ、素材的に身が締まっており、品質の高いものが多くなっています。
また、乾燥ナマコは、乾燥の善し悪しが乾燥後の形、料理前の戻り、食感等に大きく影響しますが、日本の老舗においては、長年の乾燥技術伝授により匠の世界がまだ存在していることも特徴的です。
ナマコを元来の重量の3%〜4%まで乾燥するわけですが、丁寧な塩抜き、乾燥設備による短時間の乾燥品作りではなく、時間をかけて、天日による乾燥を追求する、あるいは乾燥がある程度進んだら適温に保存するなど、いわば“こだわり”の世界です。

Q3.生物学的にナマコの年齢を確認できる方法はありますか?

残念ながらナマコは加齢を示す証拠はなく、生物学的に確認できる方法はまだ存在しません。ナマコの年齢を知る唯一の方法は、自分で卵から育てるよりほかないですね。

Q4.ナマコは体に良いと言われておりますが、本当ですか?滋養以外の効用は?

本当です。中国で“海の人参”とネーミングが示す如くで、古くから伝わる漢方の医学書では、ナマコは心臓と腎臓に働きかけ、疲労回復、免疫力アップ、性機能アップ、冷え症改善、老化の防止に良いと言われています。
ナマコは高タンパク質、18種類のアミノ酸などが含まれており、天然栄養成分の宝庫です。
さらに、ナマコの有する成分の中には抗菌力、保湿力にも優れていることを利用した、ナマコ石鹸、ナマコクリーム等が商品化されています。

Q5.北海道産と青森産の違いはなんですか?

どちらも日本を代表する乾燥ナマコの産地です。北海道品は疣が6列配列(ほかは4列)で、疣数が最も多いのが最大の特徴であり、中国では最高級品としてランク付けされています。青森品はサイズが比較的大きく、肉も厚く、食感に優れていると評価されています。

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